商標法53条第2項の
「当該商標権者であつた者
又は
専用使用権者
若しくは
通常使用権者
であつた者であつて前項に規定する使用をしたもの」
は「又は/若しくは」ではなく、「並びに/及び」で書くべき内容なのでは?
という質問メールが来たので以下の回答を行いました。
以下、メールの転載です。
「又は」「若しくは」「及び」「並びに」の使い方について、
下記のpdfが理解の役に立ちました。
(すごく勉強になりました。素晴らしいです。)
http://www.aoni.waseda.jp/khonda/paper/NLP-2003.pdf
しかしながら、上記の資料は、
基本的なことが分かっていないと理解が難しいと推測され、
また、アカデミック過ぎるので、
結合詞「又は」に関する基本事項と、上記資料の要点とを記載します。
なお、「又は」などの言葉の基本的な使い方を知りたいのであれば、
「条文の読み方」という本が非常にためになります。
http://www.amazon.co.jp/dp/4641125546
・「又は」とは
「又は」は、複数の言葉を選択的に結合させるため、
選言的結合詞と呼ばれます。
・or用法(=exclusive or用法)
「A又はB」と記載すると、
「AとBとのいずれか一つだけ」と解釈する人も多いと思います。
論理学とかでいうところの排他的論理和="exclusive or"です。
例えば、
「中間試験において、
平均点80点以上とれば、
お小遣いを500円増額する又はゲームソフトを一本買い与える」
という文章を読んで、
お小遣いの増額と、ゲームソフトとを
同時にもらえると思った子どもは強欲すぎます。
・and/or用法
しかしながら、「A又はB」と記載すると、
「AとBとの少なくとも一つ」と解釈できる場合もあります。
これは英語の"and/or"という記載に相当します。
この場合、「AとBとのいずれか一つだけ」(="exclusive or")と、
「AとBとの双方に該当する」(="and")と、の両方の意味を有します。
例えば、
「中間試験において、
国語で80点以上又は英語で80点以上とれば、
お小遣いを500円増額する」
という文章を読むと、
(a)国語で80点以上とれたが、英語で80点未満しかとれなかった場合
(b)英語で80点以上とれたが、国語で80点未満しかとれなかった場合
(c)英語と国語の双方で80点以上とれた場合
にお小遣いが増額されると普通は思うでしょう。
(c)のケースでお小遣いが増えなければ、その子どもはグレていいです。
上記2つのお小遣いの話で分かっていただけると思いますが、
効果を記載する箇所での「又は」は、主に"exclusive or"用法として解釈され、
要件を記載する箇所での「又は」は、主に"and/or"用法として解釈されます。
なお、日本語の規範である広辞苑においても、「又は」の意味として、
(1)"and/or"用法=少なくとも一つ、(2)"exclusive or"用法=どれか一つだけ
の二つが列記されています。
・商標法53条2項のケース
さて、以上の「又は」の用法が理解できているのならば、
「当該商標権者であつた者
又は
専用使用権者
若しくは
通常使用権者
であつた者であつて前項に規定する使用をしたもの」
の記載を
「当該商標権者であつた者
並びに
専用使用権者
及び
通常使用権者
であつた者であつて前項に規定する使用をしたもの」
と書き換えてもほぼ同じ意味になることがおわかりになると思います。
ここで、条文においては、
>「又は」系と「及び」系の結合詞の使い分けについて,
>一般には次のような規則が設けられている.
>(g) and/orに解釈される場合は,「又は」系を用いる
という規則があるため、
53条第2項の要件部は、「又は」系で記載されているという話になります。
上記pdfで、要件部を「又は」系で記載する理由として、
>要件部の選言的等位構造は異なるCaseの量化を導入する一方で,
>同一のCase内においてはdisjunctionを構成する.
という呪術的な言葉が書かれています。
「異なるCaseの量化」とは、
・Aさん=当該商標権者であつた者
・Bさん=専用使用権者であつた者であつて前項に規定する使用をしたもの
・Cさん=通常使用権者であつた者であつて前項に規定する使用をしたもの
というCaseが同時に成り立つことを意味し、
「同一のCase内においてはdisjunctionを構成」とは、
Aさんが取消商標の再出願を行ったCaseにおいて、
・Aさん=当該商標権者であつた者
・Aさん=専用使用権者であつた者であつて前項に規定する使用をしたもの
・Aさん=通常使用権者であつた者であつて前項に規定する使用をしたもの
ということが(普通は)同時になりたたないことを意味します(と思います……)。
2013年3月30日土曜日
2013年1月27日日曜日
仮専用実施権に係る特許出願の取り下げの承諾
>41条の出願のとき、仮専のみ承諾としているのか理由を
>知っている方はいらっしゃいませんか?
>仮専の場合は承諾としておいたほうがなにか都合が良いのでしょうか?
という質問がMLに流れていたので以下の解答を行った。
多分正しいと思うんだけど。
仮専・仮通は、特許を受ける権利ではなく、
その特許出願について将来発生する特許権に係る権利である。
(34条の2第1項、34条の3第1項)
出願が取り下げられると、
その将来発生する特許権は存在しなくなるため、
原則的には、仮専・仮通も消滅する。
(34条の2第6項、34条の3第10項)
ここで、41条1項ただし書きの規定が存在しないと仮定した場合に、
新たに国内優先権主張を伴う出願がなされると、
仮専者の承諾がないまま原出願が取り下げられることとなる。
さらには、原出願の仮専者の実施は、
新たな出願によって発生する特許権の権利範囲に属することとなる。
このため、仮専者は実施の継続が困難になる。
そこで、出願を取り下げるには、
仮専者(=特許庁が把握可能な登録を備えたもの)の
承諾を要することとした。
(青本147P)
つまりは、民法の私的自治の原則=契約自由の原則から、
優先権主張に伴う取り下げの承諾についての協議と同時に
新たな出願についての新たな仮専の許諾について協議がなされ、
優先権主張を伴う新たな特許出願を行った後、
改めてその仮専が許諾されて登録されることが考えられている規定だと思われます。
一方、仮通については、
仮通常実施権の登録制度が廃止され、
仮通常実施権者を特許庁が把握できなくなったことから、
国内優先権主張の際に仮通常実施権者の承諾が不要とした。
(青本147P)
さらに、仮通常実施権者の実施の継続を確保するための承諾に代わる措置として
新たな出願について仮通が許諾されたものとみなす規定を設けた。
(34条の3第5項の趣旨:青本108P)
(追記)
元の質問を読み直すと、
分割出願の場合には仮専者の許諾が不要で、
国内優先権主張を伴う新たな特許出願を行う場合には仮専者の許諾が必要なのは何故か
という質問も含まれていたように感じた。
でも、
分割の場合は分割元の出願が取り下げられるわけでもないから、
原則的には分割元の仮専用実施権の権利内容が変化するわけでもないしなぁ……
2012年11月15日木曜日
RAIZINは大正製薬株式会社の登録商標(第5486944号)です。
寡聞にしてさっき知ったのですが、ライジンジャパンという会社がRAIZINというエナジードリンクを今年から販売しているみたいですね(今のところネット販売だけのようで)。
http://www.amazon.co.jp/dp/B007SIPZ1G
で。ライジンジャパンってなんだ?という疑問がわき出るわけです。ウェブを見ても、「知的法人RAIZIN」というプロモーションサイトしかなく、また、そこにはまともな情報が載っていないように見えます。
http://raizin-japan.com/campaign/
謎の会社RAIZIN JAPAN……一体何者なんだ……
わたし、気になります!
というわけで、さくっと商標検索。
【権利者】【氏名又は名称】 大正製薬株式会社
【登録番号】 第5486944号
【出願日】 平成23年(2011)11月21日
【登録日】 平成24年(2012)4月13日
【標準文字商標】 RAIZIN
【指定商品】清涼飲料,果実飲料
どうやらRAIZINは、栄養ドリンクのロングセラー「リポビタンD」で有名なワシのマークの大正製薬の商品のようです(ちなみに「ライジンジャパン」も大正製薬の登録商標です)。
2012年6月5日火曜日
冒認意匠に類似する意匠を関連意匠として出願した場合の意匠法26条の2について
受験生の方の疑問等がきっかけになって調べました。
甲が意匠イの創作を行ったところ、乙が甲から不当に知得した意匠イの冒認出願を行った。加えて、乙は、意匠イの類似意匠ロの創作を行い、意匠イを本意匠とする関連意匠として意匠ロの出願を行ったところ、意匠イと意匠ロは登録された。甲が意匠イに係る意匠権を取得するために取り得る措置を述べよ。
という問題のもっともらしい答えは何か。というものです。
・意匠法26条の2第2項の制限により、イに係る意匠権とロに係る意匠権は分離して移転できない
・ロの創作者は乙であるため、ロに係る意匠権は冒認出願の無効理由を有さない
という点が論点になります。
自分なりの正解に到達した後で、検索していたところ「産業構造審議会知的財産政策部会第12回意匠制度小委員会」の資料がヒットしました。
http://www.jpo.go.jp/shiryou/toushin/shingikai/isyou_12paper.htm
http://www.jpo.go.jp/shiryou/toushin/shingikai/pdf/isyou12/04.pdf
「ロはイに創作を施した意匠であって、甲と乙の共同創作に該当し、乙が単独でしたロに係る出願は共同出願違反の無効理由(48条1項1号、準特38条)を有する。そこで、甲は、ロに係る意匠登録について上記無効理由を有する旨の無効審判を請求し、ロに係る意匠権を遡及消滅させる(49条)。その後、イについて意匠登録を受ける権利を有する者である甲は、イに係る意匠権の移転を意匠権者乙に対して請求することでイに係る意匠権を取得することができる。」
となるかと思います。
参考にさせていただいたページ
http://tmken.blog114.fc2.com/blog-entry-199.html
http://cof01.exblog.jp/14589275/
http://www.westlawjapan.com/column/2011/111017/
甲が意匠イの創作を行ったところ、乙が甲から不当に知得した意匠イの冒認出願を行った。加えて、乙は、意匠イの類似意匠ロの創作を行い、意匠イを本意匠とする関連意匠として意匠ロの出願を行ったところ、意匠イと意匠ロは登録された。甲が意匠イに係る意匠権を取得するために取り得る措置を述べよ。
という問題のもっともらしい答えは何か。というものです。
・意匠法26条の2第2項の制限により、イに係る意匠権とロに係る意匠権は分離して移転できない
・ロの創作者は乙であるため、ロに係る意匠権は冒認出願の無効理由を有さない
という点が論点になります。
自分なりの正解に到達した後で、検索していたところ「産業構造審議会知的財産政策部会第12回意匠制度小委員会」の資料がヒットしました。
http://www.jpo.go.jp/shiryou/toushin/shingikai/isyou_12paper.htm
http://www.jpo.go.jp/shiryou/toushin/shingikai/pdf/isyou12/04.pdf
冒認者が、真の権利者の意匠に対して創作を施した意匠を本意匠又は関連意匠として追加することによって、移転請求を妨げる場合も想定できる。しかしながら、この場合には、追加した意匠は真の権利者の創作と冒認者の創作からなる共同創作に該当すると考え得るため、真の権利者は、共同出願違反を理由とした無効審判請求により、追加された本意匠又は関連意匠の意匠登録を無効にした後、冒認出願に係る意匠権の移転を請求するといった手段によって、自らの権利を回復することが可能と考えられる。立法者は流石ですね。問題の事例に(雑に)当てはめると、
「ロはイに創作を施した意匠であって、甲と乙の共同創作に該当し、乙が単独でしたロに係る出願は共同出願違反の無効理由(48条1項1号、準特38条)を有する。そこで、甲は、ロに係る意匠登録について上記無効理由を有する旨の無効審判を請求し、ロに係る意匠権を遡及消滅させる(49条)。その後、イについて意匠登録を受ける権利を有する者である甲は、イに係る意匠権の移転を意匠権者乙に対して請求することでイに係る意匠権を取得することができる。」
となるかと思います。
参考にさせていただいたページ
http://tmken.blog114.fc2.com/blog-entry-199.html
http://cof01.exblog.jp/14589275/
http://www.westlawjapan.com/column/2011/111017/
2012年5月18日金曜日
新喪例+分割の運用がいつのまにか変更されていた件
原出願で新規性喪失の例外の適用を受けるための手続きを行っておらず、新規性を喪失してから6月以内に分割出願を行った場合に、当該分割出願において新規性喪失の例外の適用を受けることができるか否か、という重要な論点があります。
従来は、
「分割出願は出願時が原出願の時点にまで遡及するため、出願時と同時に行う手続きが(タイムマシーンでもない限り)できない」「原出願で受けていない以上の利益を分割出願で受けることはできない」
というのが通説及び特許庁側の公式見解だったはずなんですが、
いつのまにか、原出願で新規性喪失の例外の適用を受けるための手続きを行っていない場合であっても分割出願で新規性喪失の例外の適用が受けられるようになっていたらしい。
23年改正法対応手引きより
http://www.jpo.go.jp/shiryou/kijun/kijun2/pdf/hatumei_reigai/tebiki.pdf
5.2「原出願に際して手続を行っていなかった公開された発明については、発明の公開日から6月以内に分割出願/変更出願/実用新案登録に基づく特許出願をして手続([2.]の(a)~(c))を行えば、第2項の規定の適用を受けることができます」
上記の規定の理由付けは下記
(「平成23年改正法対応手引き(案)」)に対するご意見の概要およびその回答より
Q:「平成23年改正法対応手引き(案)」では「原出願に際して手続を行っていなかった公開された発明については、発明の公開の日から6月以内に分割出願/変更出願/実用新案登録に基づく特許出願をして手続を行えば、発明の新規性喪失の例外規定の適用を受けることができます。」と記載されている。このように取り扱う理由を示してほしい。
A:分割出願制度や変更出願制度は出願人の戦略的な権利取得を支援するための制度でもあることから、その制度趣旨を踏まえ、「平成23年改正法対応手引き」で示した運用をとることとしました。なお、本件は、主に分割・変更出願制度についての論点であるため「平成23年改正法対応手引き」に記載すると煩雑化を招き手引きの使い勝手をかえって悪くするおそれがあることから、当該手引きに本運用をとる理由を記載することは妥当ではないと考えます。
重要論点に関する規定がひっくり反っているんだけれど、web上で言及された記事が無かったので引用してみた次第です。
従来は、
「分割出願は出願時が原出願の時点にまで遡及するため、出願時と同時に行う手続きが(タイムマシーンでもない限り)できない」「原出願で受けていない以上の利益を分割出願で受けることはできない」
というのが通説及び特許庁側の公式見解だったはずなんですが、
いつのまにか、原出願で新規性喪失の例外の適用を受けるための手続きを行っていない場合であっても分割出願で新規性喪失の例外の適用が受けられるようになっていたらしい。
23年改正法対応手引きより
http://www.jpo.go.jp/shiryou/kijun/kijun2/pdf/hatumei_reigai/tebiki.pdf
5.2「原出願に際して手続を行っていなかった公開された発明については、発明の公開日から6月以内に分割出願/変更出願/実用新案登録に基づく特許出願をして手続([2.]の(a)~(c))を行えば、第2項の規定の適用を受けることができます」
上記の規定の理由付けは下記
(「平成23年改正法対応手引き(案)」)に対するご意見の概要およびその回答より
Q:「平成23年改正法対応手引き(案)」では「原出願に際して手続を行っていなかった公開された発明については、発明の公開の日から6月以内に分割出願/変更出願/実用新案登録に基づく特許出願をして手続を行えば、発明の新規性喪失の例外規定の適用を受けることができます。」と記載されている。このように取り扱う理由を示してほしい。
A:分割出願制度や変更出願制度は出願人の戦略的な権利取得を支援するための制度でもあることから、その制度趣旨を踏まえ、「平成23年改正法対応手引き」で示した運用をとることとしました。なお、本件は、主に分割・変更出願制度についての論点であるため「平成23年改正法対応手引き」に記載すると煩雑化を招き手引きの使い勝手をかえって悪くするおそれがあることから、当該手引きに本運用をとる理由を記載することは妥当ではないと考えます。
重要論点に関する規定がひっくり反っているんだけれど、web上で言及された記事が無かったので引用してみた次第です。
2011年11月14日月曜日
平成23年度弁理士試験口述再現リンク集
@cof01さんがまとめてくれているので、
リンクはっときます。
口述以外でも、@cof01さんの勉強方法はすごく優れていると思うので是非参考に。
再現:口述6日目意匠(平成23年度弁理士試験)
口述再現6日目意匠で、意匠の試験官として有名な教授に当たりました。
折角なのでレポートとしてまとめます。
以下、再現です。
--------------
部屋の前で待つこと数分、部屋の中に通される。「よろしくお願いいたします」そう言った僕の前に居たのは、ネットで見たことがある顔、間違いない。○○教授だ。
着席後、教授の口から「それでは意匠法における類似についてお聞きします」という声が漏れた。僕はその瞬間「意匠法終わっちゃったなー」とあきらめムードに入った。一呼吸置き、「意匠法において類似関係が規定されている拒絶理由を言ってください」と聞かれた。少々焦っていたのか「3条1項3号」が口から中々出てこない。5秒ほどの沈黙の後「3条1項3号に、公知意匠と類似の意匠が登録をうけられない旨が規定されています」とようやく答える。
「他には?」あれ?なんだっけ?この時点で公知意匠と類似とばっかり頭が固まっていたので中々条文が出てこない。「24条2項です」「それは、拒絶理由を規定している条文じゃないよね?他にないの?」10秒ほどの沈黙の後、「9条です!」ようやく思い出した。「他には?」「あ、10条です」「それだけですか?」「はい」「それでは次の問題に行きます」
他の方の再現を見る限り、実はここで3条の2が漏れていたのだけれど、それを示唆するアドバイスは無かった。また、3条の2が漏れていたおかげなのか部分意匠の類否に関する問題が提示されなかった。
「意匠権の効力について条文通りに説明してください」「意匠権者は業として登録意匠を実施する権利を専有する、です」と答えたものの反応がおかしい。あ、そうだ類似意匠が抜けている。「意匠権者は業として登録意匠またはこれに類似する意匠の実施をする権利を専有する」と言い直した。しかし、まだ反応がおかしい。あれ?ひょっとして今、僕”または”っていったかな?「あ、すいません、意匠権者は業として登録意匠及びこれに類似する意匠の実施をする権利を専有する、です」「そうだよね、及びと又はは全然違うよね」
「それでは、登録意匠の範囲について条文通りにいってくれるかな」「登録意匠の範囲は、願書の記載及び願書に添付した図面等により定められる、です」「条文通りに言ってください」やべぇ。細かい文言がすっとでてこねぇ。「登録意匠の範囲は、願書の記載及び願書に添付した図面又は願書に添付した写真、ひな形……、すいません条文を確認させて頂いてよろしいでしょうか?」「どうぞ」
条文を確認して「登録意匠の範囲は、願書の記載及び願書に添付した図面又は願書に添付した写真、ひな形もしくは見本により現された意匠により定められる、です」と答える。条文通りに言えた気がするが、教授と教授の隣に座って沈黙を決め込んでいる人の様子がおかしい。あれ?また、”又はと及び”を間違えたか?「すいません、条文を再度確認させて頂いてよろしいいでしょうか?」「どうぞ」再度確認して「登録意匠の範囲は、願書の記載及び願書に添付した図面又は願書に添付した写真、ひな形もしくは見本により現された意匠により定められる、です」同じ文言を繰り返してしまう。当然OKにならない。もちろん、教授は、「もう一回言い直してくれますか?」ぐらいの情報しか提示してくれない。
「それじゃぁ、この問題はおいておいて次の問題に行きますか?」といわれた辺りで気がついた。「記載された」が抜けている。「登録意匠の範囲は、願書の記載及び願書に添付した図面に記載され又は願書に添付した写真、ひな形もしくは見本により現された意匠により定められる、です」「そうだよね、記載されと現されは違うからしっかり勉強しとかないと」「はい……」
確かこれぐらいで1個目のベルが鳴る。「それでは、意匠の類似はどうやって判断されますか?」「需要者の視覚を通じて起こさせる美観に基づいて行われます」「それでは、3条1項3号の類似関係はどのように判断されますか?」「需要者の視覚を通じて起こさせる美観に基づいて行われます」「それはなぜですか?」「24条2項に規定されているからです」「違うよね?24条2項は意匠権の類似の範囲を定めている規定だよね?」あーそうか。「審査基準に規定されています」「それでは審査基準にそのように規定されているのはなぜですか?」え……
やばい。時間がやばい。焦った僕は24条2項の条文を繰り返すなどするが当然教授からアシストはない。で、ようやくひらめく、「権利効力を定めている24条2項と同様に同一の判断主体を想定して類比判断を行わないと、不都合だからです」と、早口でまくしたてる。「まぁ、いいでしょう」ちょうど2つ目のベルが鳴る。教授の口から「それでは意匠法は終わりです」との声が聞こえる。「ありがとうございました」と言って席をたった。
-----------------
主観が入っているけどだいたいこんな感じでした。合格発表後、つまりは試験から3週間後に書いているので、不正確な文言が入っていると思います。
(「反応がおかしい」って書いているところは、「怪訝な表情を浮かべる」という表現が適切というか、音声でのコミュニケーション一切無しです。あと、副査の人が声を発することはありませんでした。)
所感としては、
・やはり、受からせようとするタイプの試験官ではない。ただ、ここで聞かれている重要条文ぐらいは、一言一句正確に答えられるようにしておいたほうがよい。
・口頭試験としての客観性を担保するのならば、これぐらいのやりとりがいいのかもしれない。
・結果としては合格できましたが、特許と商標は出来ていたと思っているので、意匠にCがついている可能性はそれなりにあります。
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