2012年11月15日木曜日

RAIZINは大正製薬株式会社の登録商標(第5486944号)です。


寡聞にしてさっき知ったのですが、ライジンジャパンという会社がRAIZINというエナジードリンクを今年から販売しているみたいですね(今のところネット販売だけのようで)。
http://www.amazon.co.jp/dp/B007SIPZ1G


で。ライジンジャパンってなんだ?という疑問がわき出るわけです。ウェブを見ても、「知的法人RAIZIN」というプロモーションサイトしかなく、また、そこにはまともな情報が載っていないように見えます。
http://raizin-japan.com/campaign/

謎の会社RAIZIN JAPAN……一体何者なんだ……
わたし、気になります!
というわけで、さくっと商標検索。

【権利者】【氏名又は名称】 大正製薬株式会社
【登録番号】 第5486944号
【出願日】 平成23年(2011)11月21日
【登録日】 平成24年(2012)4月13日
【標準文字商標】 RAIZIN
【指定商品】清涼飲料,果実飲料

どうやらRAIZINは、栄養ドリンクのロングセラー「リポビタンD」で有名なワシのマークの大正製薬の商品のようです(ちなみに「ライジンジャパン」も大正製薬の登録商標です)。


2012年6月5日火曜日

冒認意匠に類似する意匠を関連意匠として出願した場合の意匠法26条の2について

受験生の方の疑問等がきっかけになって調べました。

甲が意匠イの創作を行ったところ、乙が甲から不当に知得した意匠イの冒認出願を行った。加えて、乙は、意匠イの類似意匠ロの創作を行い、意匠イを本意匠とする関連意匠として意匠ロの出願を行ったところ、意匠イと意匠ロは登録された。甲が意匠イに係る意匠権を取得するために取り得る措置を述べよ。

という問題のもっともらしい答えは何か。というものです。
・意匠法26条の2第2項の制限により、イに係る意匠権とロに係る意匠権は分離して移転できない
・ロの創作者は乙であるため、ロに係る意匠権は冒認出願の無効理由を有さない
という点が論点になります。

自分なりの正解に到達した後で、検索していたところ「産業構造審議会知的財産政策部会第12回意匠制度小委員会」の資料がヒットしました。
http://www.jpo.go.jp/shiryou/toushin/shingikai/isyou_12paper.htm
http://www.jpo.go.jp/shiryou/toushin/shingikai/pdf/isyou12/04.pdf
冒認者が、真の権利者の意匠に対して創作を施した意匠を本意匠又は関連意匠として追加することによって、移転請求を妨げる場合も想定できる。しかしながら、この場合には、追加した意匠は真の権利者の創作と冒認者の創作からなる共同創作に該当すると考え得るため、真の権利者は、共同出願違反を理由とした無効審判請求により、追加された本意匠又は関連意匠の意匠登録を無効にした後、冒認出願に係る意匠権の移転を請求するといった手段によって、自らの権利を回復することが可能と考えられる。
立法者は流石ですね。問題の事例に(雑に)当てはめると、
ロはイに創作を施した意匠であって、甲と乙の共同創作に該当し、乙が単独でしたロに係る出願は共同出願違反の無効理由(48条1項1号、準特38条)を有する。そこで、甲は、ロに係る意匠登録について上記無効理由を有する旨の無効審判を請求し、ロに係る意匠権を遡及消滅させる(49条)。その後、イについて意匠登録を受ける権利を有する者である甲は、イに係る意匠権の移転を意匠権者乙に対して請求することでイに係る意匠権を取得することができる。
となるかと思います。

参考にさせていただいたページ
http://tmken.blog114.fc2.com/blog-entry-199.html
http://cof01.exblog.jp/14589275/
http://www.westlawjapan.com/column/2011/111017/

2012年5月18日金曜日

新喪例+分割の運用がいつのまにか変更されていた件

原出願で新規性喪失の例外の適用を受けるための手続きを行っておらず、新規性を喪失してから6月以内に分割出願を行った場合に、当該分割出願において新規性喪失の例外の適用を受けることができるか否か、という重要な論点があります。

従来は、
「分割出願は出願時が原出願の時点にまで遡及するため、出願時と同時に行う手続きが(タイムマシーンでもない限り)できない」「原出願で受けていない以上の利益を分割出願で受けることはできない」
というのが通説及び特許庁側の公式見解だったはずなんですが、

いつのまにか、原出願で新規性喪失の例外の適用を受けるための手続きを行っていない場合であっても分割出願で新規性喪失の例外の適用が受けられるようになっていたらしい。
23年改正法対応手引きより
http://www.jpo.go.jp/shiryou/kijun/kijun2/pdf/hatumei_reigai/tebiki.pdf

5.2「原出願に際して手続を行っていなかった公開された発明については、発明の公開日から6月以内に分割出願/変更出願/実用新案登録に基づく特許出願をして手続([2.]の(a)~(c))を行えば、第2項の規定の適用を受けることができます」
 
上記の規定の理由付けは下記
(「平成23年改正法対応手引き(案)」)に対するご意見の概要およびその回答より
 
Q:「平成23年改正法対応手引き(案)」では「原出願に際して手続を行っていなかった公開された発明については、発明の公開の日から6月以内に分割出願/変更出願/実用新案登録に基づく特許出願をして手続を行えば、発明の新規性喪失の例外規定の適用を受けることができます。」と記載されている。このように取り扱う理由を示してほしい。
A:分割出願制度や変更出願制度は出願人の戦略的な権利取得を支援するための制度でもあることから、その制度趣旨を踏まえ、「平成23年改正法対応手引き」で示した運用をとることとしました。なお、本件は、主に分割・変更出願制度についての論点であるため「平成23年改正法対応手引き」に記載すると煩雑化を招き手引きの使い勝手をかえって悪くするおそれがあることから、当該手引きに本運用をとる理由を記載することは妥当ではないと考えます。

重要論点に関する規定がひっくり反っているんだけれど、web上で言及された記事が無かったので引用してみた次第です。