2011年3月17日木曜日

部分意匠と利用関係について【3月18日再追記】

一月程前にも似たようなことをTwitterにポストした気もするし、結論自体は不明確であるとは言え、自分の考え方みたいなのが明確になってきたので、一旦まとめてみる。Twitter上で返答もらった分も後から追記する。と思う。多分するんじゃないかな。→頂戴したご意見そのものを書くとゴテゴテしそうなので、ご意見を参考に捻出した結論等について追記しました。

『論点』
先願の部分意匠イに(物品/機能・用途/位置・大きさ・範囲/形態に基づいて判断し)類似する後願の全体意匠ロは、保護を受けようとする方法と対象が異なるとして登録されるが、後願の全体意匠の意匠権者は自己の登録意匠の実施について制限を受ける、すなわち自己の意匠権が抗弁権足りえないのか否か。

(疑問その1)
審査段階では先願の部分意匠イが類否判断の対象外とされているにも関わらず、自己の登録意匠ロの実施の段階で先願の部分意匠イに類似するとして、自由に実施できないとするのはそもそも正しいのか。

(疑問その2)
ロが自由に実施できないとするのならば、その根拠条文として、26条1項の利用関係が成立するとして自己の意匠権が抗弁権足りえないとするのは正しいのか否か。

(疑問その3)
先願の部分意匠ハに係る意匠権と後願の全体意匠ニに係る意匠権が併存していた場合に、後願の意匠権者のニに係る実施について、ハとニは部分意匠の類否判断の4要件に基づいて類似関係は成立しないが、ニはハを利用しているため26条の規定によりニを自由に実施できない。とするのは正しいのか否か。

(疑問その4)
上記ハとニのような場合には、部分意匠の類否判断と、利用関係の成立性の判断と、どちらか一方だけを採用するのが妥当なのか。

『以下、混乱している理由みたいなもの』
部分意匠の効力が弱いとされる要部説的な4要件の判断をした後で、効力が強いとされる独立説的な利用関係を持ち出すのに、やっぱり違和感を覚える。即ち、部分意匠の効力で、結果的に独立説的な利用関係を持ち出すのならば、4要件を判断する意味ってなによ?となる。

後願の全体意匠の審査段階では、方法と対象が異なるとして先願の部分意匠を類否判断の対象外としているにも関わらず、権利行使の段階でやっぱり先願の部分意匠に類似するというのは今一腑に落ちないというか。

【追記】
(イとロのように類似関係にある場合)
イとロの4要件の類否判断を行った上で、
「後願の全体意匠ロに係る権利者乙が、先願の甲の登録部分意匠イに類似する意匠を実施すると、甲の意匠権の直接侵害を構成する→ここで、乙の行為は自己の登録意匠ロの実施である→しかし、26条の利用関係が成立する(あるいは、26条の先願優位の趣旨を持ち出す)→乙の意匠権は抗弁権足りえない→侵害が成立する」と書くことにする。
26条を記載しない限り、乙の自己の意匠権の積極的効力が抗弁権足りうるとも考えられるので。相変わらず「類似する部分意匠を利用する全体意匠」という表現がしっくり来ないのだが。

(ハとニのように類似関係にない場合)
ハとニの類否判断を行った上で、「後願の全体意匠ニに係る権利者乙が実施している自己の登録意匠ニは、先願の甲の登録部分意匠ハとは類似しない→よってニの実施はハの実施とは言えないことから利用関係も成立しえず、侵害は成立しない」で逃げることにする。
解答によっては利用関係が成立する場合もあるって書いているのもあるけど、それはやっぱり腑に落ちない。で、利用に一切触れないのも怖いから逃げの解答で。

『@oYATTAoさんと話しているときに思ったこと』
先願の物品「自転車のハンドル」に係る意匠と後願の物品「自転車」に係る意匠が併存していた場合、後願の意匠の一部であるハンドルが先願の意匠と類似していた場合に、利用関係を持ち出す記載パターンには以下の二通りある。

(第1パターン)
「乙が自転車を実施することは当然に甲の登録意匠に係るハンドルの実施となる→ここで、乙は自己の登録意匠の実施である→しかし利用関係が成立する→乙の意匠権は抗弁権足りえない→よって、乙の行為は侵害を構成する」

(第2パターン)
「自転車とハンドルは物品非類似につき意匠も非類似→乙の自転車の実施行為は甲のハンドルに係る意匠を実施するものではない→しかし、乙の実施に係る自転車は先願の甲のハンドルの意匠を利用している→よって侵害が成立する」

第2パターン的な考え方で部分意匠の利用関係を記載すると論理破綻がひどくなるので、第1パターンに沿って記載したほうが無難な気がしてきた。

【再追記】
要部説は「実線の部分が意匠の要部で、破線の部分は重要な部分ではないけど、当然意匠の一部だよ」という説なわけです。だから、要部説において、部分意匠も「自転車全体の意匠」となるわけです(あくまで、ハンドル部分が要部であるということが明示的に示されているだけで)。
すなわち、先願の部分意匠と後願の全体意匠が相互に類似する場合、利用の定義であるところの「一方的な実施関係」は成り立たつわけがない(そもそも、利用関係が持ち出されるのは、類似関係がなり立たない、即ち、直接侵害を構成し得ない場合のはず)。この問題は、部分意匠と全体意匠の間で、方法と対象が異なるとして、先後願関係を審査しないことに起因していると思う。
意匠法上、類似する意匠に係る権利は併存し得ないはずなのに、全体意匠と部分意匠の間では審査がされないため、何故か併存している。この論理破綻を説明するために、Y塾は「実質上の抵触関係が生じている」と言う説を採用しているのだと思う。
方法と対象が異なるとして、先後願関係を審査しないのならば、独立説的(創作説的)に、あるいは、3条の2の審査のように、部分の機能・用途、部分の形態のみを審査し、権利効力も、部分の機能・用途、部分の形態に基づいて判断するようにすれば、まだ、しっくりくると思う。
これ以上は、試験に受かってから考えることにします。。。

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