原出願で新規性喪失の例外の適用を受けるための手続きを行っておらず、新規性を喪失してから6月以内に分割出願を行った場合に、当該分割出願において新規性喪失の例外の適用を受けることができるか否か、という重要な論点があります。
従来は、
「分割出願は出願時が原出願の時点にまで遡及するため、出願時と同時に行う手続きが(タイムマシーンでもない限り)できない」「原出願で受けていない以上の利益を分割出願で受けることはできない」
というのが通説及び特許庁側の公式見解だったはずなんですが、
いつのまにか、原出願で新規性喪失の例外の適用を受けるための手続きを行っていない場合であっても分割出願で新規性喪失の例外の適用が受けられるようになっていたらしい。
23年改正法対応手引きより
http://www.jpo.go.jp/shiryou/kijun/kijun2/pdf/hatumei_reigai/tebiki.pdf
5.2「原出願に際して手続を行っていなかった公開された発明については、発明の公開日から6月以内に分割出願/変更出願/実用新案登録に基づく特許出願をして手続([2.]の(a)~(c))を行えば、第2項の規定の適用を受けることができます」
上記の規定の理由付けは下記
(「平成23年改正法対応手引き(案)」)に対するご意見の概要およびその回答より
Q:「平成23年改正法対応手引き(案)」では「原出願に際して手続を行っていなかった公開された発明については、発明の公開の日から6月以内に分割出願/変更出願/実用新案登録に基づく特許出願をして手続を行えば、発明の新規性喪失の例外規定の適用を受けることができます。」と記載されている。このように取り扱う理由を示してほしい。
A:分割出願制度や変更出願制度は出願人の戦略的な権利取得を支援するための制度でもあることから、その制度趣旨を踏まえ、「平成23年改正法対応手引き」で示した運用をとることとしました。なお、本件は、主に分割・変更出願制度についての論点であるため「平成23年改正法対応手引き」に記載すると煩雑化を招き手引きの使い勝手をかえって悪くするおそれがあることから、当該手引きに本運用をとる理由を記載することは妥当ではないと考えます。
重要論点に関する規定がひっくり反っているんだけれど、web上で言及された記事が無かったので引用してみた次第です。
2012年5月18日金曜日
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